嶋影健一の想い

嶋影健一が日々を綴ります

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2019年08月01日

「地域の健康」と「地球の健康」 令和元年7月

前回の「建物の健康」の所で、本来は木材の乾燥に付いて述べる必要がありましたが、思索中でしたので避けておりました。
ようやく決まりましたので報告させて頂きます。

■ 乾燥には、人工乾燥と天然乾燥の2つの方法があります。
①人工乾燥は化石燃料(中心)の蒸気による方法です。
・高温乾燥~約120℃・中温乾燥~約80℃・低温乾燥~約45℃
②天然乾燥は自然エネルギーによる方法です。
私達は低温乾燥で行っていますが、低温であろうと高温であろうと、化石燃料を使っている事は五十歩百歩であり、地球温暖化を対象にしているからには、天然乾燥が当たり前なので、それが見つかるまであえて触れなかったのです。

嬉しいことに見つかりました。名前は(有)松岡材木店(郡山市田村町)です。
余り多くて写真には良く入りませんでしたが、山積みの自然乾燥材を見て、これは「地域の宝の山」だと感動し、同時に私達の目標への確かな手応えを感じました。

広い土場に宝の山です。


整然と桟積みされています。


ここでは自然乾燥を中心に、バイオマスによる低温乾燥(40℃)も行っています。
※木材の強度に関しては、人間の夏に喩えれば温度が低い方が生き生きします。

次に「地域の健康」と「地球の健康」に付いてお話をしましょう。
■「地域の健康」
・基本は「地産地生(一般的には地産地消ですが、最後にリユースをするので)」で地域循環を促すことです。簡単に言えばお金の循環です。
例えば一般住宅では、基礎のコンクリートと型枠から始まって、構造材、屋根、サッシ、外壁、断熱材、内装材、設備、外部の舗装や排水溝まで殆どが外部から入ってきます。
残念なことにお金は中央に吸い取られ、地方は手間だけで、お金の循環はできません。
意識的に地場産木材を使っても建築費の1/10位ですが、如何に増やすかを考えています。
・「地産地生」は山の循環も促す必要があります。その実例を私達が主催する木の家講座「森の木が家になるまで」で一般市民を対象に現場見学会を行います。そこで持続可能な社会の在り方を学びます。

林業の現場です

この木が市場でどのように使われるか教えて頂いています

前年秋に伐採した場所に翌年春に植樹された杉がここまで成長しました

植樹した杉の成長の具合や山の循環について説明頂いています

■「地球の健康」
・一番はCO2を減らすことです。省エネの考えの他に、人間の生活から出るゴミの問題があります。それを処理するエネルギー(運搬、焼却)からはCO2が排出され、環境を汚染します。そこでゴミを減らすために「3R」が提唱されました。①Reduce(リデュース)=ゴミを減らす、大切に物を使う等、②Reuse(リユース)=再利用、③Recycle(リサイクル)=再生利用、と言われています。

■注目すべき事は2015年国連サミットで採択された「SDGs(エスデージーズ)」=持続可能な開発目標です。それは「すべての人々にとってよりよい、より持続可能な未来を築くための青写真です。貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正など、私たちが直面するグローバルな諸課題の解決を目指します。目標は相互に関連しています。誰一人置き去りにしないために、2030年までに各目標・ターゲットを達成することが重要」。大きなテーマですね。

次回は「コストの考え方」等に付いて話したいと思います。 嶋影