KUMIKOができるまで

住まいが形になっていく様子を竣工まで

KUMIKOができるまで

住まいが形になっていく様子を竣工まで
 

KUMIKOの家ができるまで

 

お施主様のお住まいが建ち上がっていく過程を、地鎮祭から竣工まで記録したものです。
KUMIKOの家を構成する材料、職人技、工法等々、これから建てる方の参考になれば幸いです。

約1年かけて設計打合せしてきた住まいが形になっていく様子をご覧ください。

地鎮祭


東日本大震災で津波被害に遭い、この地に新しい生活の場を求めたI様の住まい造りの始まりです。
まずは、この土地の神様にご挨拶します。
宮司さんの後ろに並ぶのは当会代表、建築士の嶋影。そして、お施主さんご夫妻です。

地縄張り


建物を建てる位置を確定します

基礎


べた基礎の施工中です
「べた基礎」は建物を面で支えるため不動沈下を起こし難い工法です。
また、床下が基礎と繋がったコンクリートになりますので地面からの湿気やシロアリの侵入も防ぎます。

KUMIKOの家造りは設計段階で全ての土地の地耐力を測定します。
軟弱地盤の場合はそれぞれに合った土地改良を施してから基礎を作りますので、より安心な基礎となります。


基礎配筋:コンクリートの中に鉄筋を配置していきます



気密パッキンを設置しました

KUMIKOの家は床下に太陽熱を蓄えますので基礎と土台の間に隙間があると性能が落ちます。
ここは大事なポイントです。
この気密パッキンは気密性・防水性・耐久性に優れた製品ですので、これを使うことで、基礎コンクリートとその上に乗る土台との間がしっかり密着します。

土台


土台を設置しました


木と木を繋ぐ継手仕口です
右奥は腰かけ鎌継ぎです


土台に管柱を建てていきます


通し柱設置します

2階


2階の床組

火打ち梁

2階小屋組

2階小屋組妻側

上棟


木材が美しく組まれました

上棟です

屋根


通気垂木とそよ風のメインチャンバーの設置

「そよ風」夏の暑い空気をここから排出します

断熱


べた基礎の上に断熱材を敷き込みます。ノリはKUMIKOこだわりの米糊です。お施主さんも一緒に塗ってくださいました。

断熱材です。

敷き込完了。べた基礎の立ち上がりまできっちり覆うことで完璧な断熱の完成です。これで冬も足元あったかです。

床下の断熱は特にしっかり行います。
床下は通常冷え冷えとした場所という概念がありますが、KUMIKOの家の場合は足元が冷えないことが重要との思いから入念に行います。
土間断熱には4センチ厚さのビーズ法ポリスチレンフォーム(保温特号)が敷きこまれ、基礎の立ち上がり部分には、同じ製品を設置後、更に4センチの同製品をかぶせます。
これらを接着するのは全て、お米から作った米糊です。
米糊はKUMIKOのこだわりの一つです。
シックハウスの原因となる有害物質は特に糊に含まれているので、KUMIKOでは各担当者がそれぞれにご飯から手作りします。
職人さん方には本当にお手間をお掛けしてます。感謝!!

サッシ


サッシが搬入されました。

まずはお風呂から設置します。

壁下地


耐力壁ともなるモイス壁下地です。

モイスは天然素材100%の「地震に強い」「燃えない」「腐らない」耐力面材です。
調湿性に優れ、消臭効果やホルムアルデヒドの吸着力や、カビへの抵抗力がある上、
有害な有機物質は一切含まず、最終的に土に還るエコ建材です。

更に、モイスには防・耐火性能があり、火災時にも煙や有毒ガスは発生しません。

屋根


この通気垂木の間を風が抜けることで夏の暑さを逃します。

ガリバリウムの屋根葺きです。一枚一枚丁寧に葺いていきます。

軒裏の施工中です。

夏は風の入り口になる軒先です。

浴室


ユニットバス施工中です。

浴室設置完了

2階


窓サッシ取付中です

2階床張り開始しました

2階


上を向いての施工はなかなかキツイ作業です。大工さんありがとうございます。

二階小屋裏完成です。

断熱材


断熱材が吹き込まれました。

KUMIKOの家の断熱材は「ハイサーム」というセルロースファイバーを使用します。
遮熱・透湿防水シートの中に9センチの厚さでブローイング(吹き込み)されます。

セルロースファイバー「ハイサーム」は、地元郡山で作られています。
天然木質素材を主原料とした新品の段ボールを粉砕し、ホウ素系薬品を混ぜ合わせたものです。
ホウ素は、防燃・防カビ・防虫機能を高める、人体に無害な薬品です。

断熱材にはグラスファイバー、ロックウール、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォームと種々ありますが、セルロースファイバーのみ、断熱性能に加え、遮音、吸音、調湿、耐火、防錆、防虫性能と七つの性能が備わっています。
その上、熱伝導率が他の素材の中で一番低いので、とても優れた断熱材といえます。
しかも、シックハウス症候群を引き起こす有害素材ホルムアルデヒドを一切を含んでいないので安心です。
更に、「うつくしまエコ・リサイクル商品」に認定された循環型社会の形成に貢献する優秀な建材でもあります。

断熱材吹き込み完了


壁断熱完了


天井断熱完了

遮熱・透湿防水シートの中にセルロース断熱材「ハイサーム」が壁は9センチ、天井は18,5センチの厚さで吹込まれました。

2階モイス設置


モイスは9.5ミリ厚。電気配線も完了

モイスは天然素材から作られる、ホルムアルデヒドを全く放散しない=シックハウス規制を受けない建材です。
吸放湿・消臭・有害物質の吸着といった優れた性能に合わせ、天然の素材である消石灰・珪砂・バーミキュライト・珪藻土などからできているため肥料として再利用することができる、土に還る優れたサスティナブル建材です。

2階天井板施工

杉の天井板施工中の棟梁です。

木目まで考慮して施工してくれています。美しく仕上がっています。

こちらの住いは内装材に『モイス』と杉と珪藻土を
それぞれの特性から場所によって使い分けています。

モイスは既にお伝えしましたように、身体にも地球にも優しい天然素材からできた建材ですが、この杉板もまた家族の健康にとって大変優れた素材ですので今回はその特徴をご紹介します。

誰もが教科書に載っている写真をすぐに思い出せる校倉造りの正倉院。
その中にシルクロードを経てはるばる日本にやってきた宝物が収められています。
教科書ではヒノキの校木を井桁に組みあげた倉造り+高床式だから湿度により木が収縮して宝物がもったと習いますが、実はお宝は校倉の中で更に「辛櫃(からびつ)」という箱に収められています。

この辛櫃(からびつ)は杉で作られています。
杉は、調湿作用、調温作用を始め、ホルムアルデヒドやオゾン、二酸化窒素などの宝物を劣化させる物質を吸着する力があり、その優れた保存機能により、1300年※の時を経て今もなお鮮やかな色と形を私達に見せてくれているのです。
※天平宝字3年(759)3月以前の竣工と推測される・・・宮内庁HP参照

このグラフからは、杉を置いた部屋の空気を浄化する性質、特に二酸化窒素やホルムアルデヒドを吸着する機能が顕著であることがわかります。

※1

今年の1月にビックパレットで行った「KUMIKO木の家講演会」では、九州大学大学院綿貫茂喜教授から、杉の学校椅子・机を使用したクラスとスチールデスクを使用したクラスの子供達の免疫力の違いやインフルエンザ罹患率の違い、更にはメンタルな面での杉の優位性の話を伺いました。

杉の暖かさはその木肌に触れればわかりますが、科学的な実験結果を見ると、酒を醸造する為の桶や保管・熟成のための樽に使われたり、曲げわっぱと云われる弁当箱や船や下駄に使われるなど、抗菌・防腐作用や害虫忌避性、耐久性・断熱性・調湿性・保温性に優れた木材として古来より日本人が様々な場面で利用してきた訳がわかります。

ちょっと驚くのが、マウスを使った木と鉄とコンクリートケージの生存率と成長の実験結果です。

木の箱で育った子マウスは比較的おとなしく体重測定できますが、鉄やコンクリートの箱で育った子マウスは暴れてなかなかいうことをきかなかったという興味深い報告もされています
※2

因みに、杉の学名は、Cryptomeria japonica (クリプトメリア ジャポニカ)。
Cryptomeriaは「隠れた財産」、japonica は「日本の」という意味です。
実は杉は日本一長寿の木です。
そして日本一樹高が高くなる木で、日本で一番多く植えられている木で、木材として最も使われている木でもあります。

※1出展:(社)大阪府木材連合会「杉の呼吸が暮らしを変える」より
※2出展:農林水産省HP(伊藤他、静岡大学農学部1987年)より
参照は農林水産省HP・森林林業学習館

階段


階段がつきました。
やはり杉の一枚板は美しい。迫力があります。

>現場シートに看板が設置


KUMIKOのこだわり、太陽エネルギー「そよ風」をデザインしたシートです。
「そよ風」の仕組みがわかるイラストです。

 

外壁の塗装完了


清潔な白がテーマカラーのI邸です。
すっきりと仕上がりました

太陽光パネル設置


全部で9枚設置されました。
これで最大出力約2キロワットです。

内装 珪藻土塗り


こちらが今回の内装材「北のやすらぎ」です。

こうして凸凹を埋めていきます

まずは、下地の「モイス」の凸凹を解消するパテ塗りです。


次に下塗りします。
左側は塗装前のモイス下地、右が下塗り済みの壁です。

そして、上塗りします。
左が下塗り、右が上塗りした状態です。
なめらかです。


こんなふうに仕上がります。

珪藻土「北のやすらぎ」は、健康な室内を創造する為に北海道大学先端科学技術共同センターと日本システム機器(株)http://www.n-sys.co.jp/yasuragi.htmlとが共同研究し、開発した壁材です。

主原料は北海道の一部でしか取れない稚内層珪藻頁岩で、これは北海道庁特許を取得しているそうです。

この製品には様々な特徴があります。(日本システム資料より)
まずは他の建材紹介でも度々出てきました最後には土に還る素材であること。
100%リサイクル活用されます。

そして優れた室内湿度調整機能として常に湿度を60%前後に調湿する力を備えていること。
結露防止はもとより、カビ、ダニ、ウィルスの発生も抑えます。
この60%という湿度は暮らしていくにちょうど良い湿気なのだそうです。


更にシックハウスを引き起すホルムアルデヒドやトルエンといった有毒物質を吸着する力がある上、消臭効果もあります。

ホルムアルデヒド残存率

アンモニア残存率 アンモニアはおトイレの悪臭のナンバーワンの物質ですね

更に、遠赤外線やマイナスイオンの放出もあるそうです。
パソコン脇に主原料の岩を置いてみました。

内装 杉板+珪藻土 + 外壁

2階の個室です。
天井と床板が杉の無垢板。
壁が珪藻土<北のやすらぎ>です。
快適な居心地になることうけあいです

外壁もALCの上に綺麗に塗装されました。
ソーラーパネルも設置済です。
若々しくてバランスのとれた素敵な外観です。

電気配線&照明

<分電盤&スイッチ>

勝手口にピッタリの幅の分電盤を付けてくれました。
このあたりは電気職人さんのセンスと仕事に対する心意気が良くわかる部分です。
非常に細やかな心使いでプロの仕事を見せてくれました。

「工事」は云うまでもなく、機械ではなく、人がやります。
我々設計からバトンタッチされた「住み手への想い」を彼ら職人が形にしてくれます。
数センチ、時として数ミリへのこだわりはその職人さんにより十人十色ですが、いつも頭が下がります。
現場で良く聞くセリフが「こうしたらきれいに収まるかな。お客さんが喜んでくれるかな」です。
こんなプロの職人さん達の想いと腕があっての建て方だということを多くの方々に知って頂きたいです。

スイッチ、インターホン、そよ風モニタ、給湯機器のリモコン、大きさが全て違う不揃いな機器たちを綺麗に設置してくれました。


LEDのリビング照明です。
この部屋はエアコンの前にLEDのダウンライトがついています。
床面にスポットが当たっている場所です。ここにはピアノを置く予定です。
光の向きを変えられるユニバーサル型で譜面、鍵盤をしっかり照らしてくれるはずです。

照明はLEDランプが使用がされています。
LEDは長寿命と省電力なことが長所です。

 

仕上り

<階段>

30ミリ厚の一枚板の階段。棟梁の腕あっての代物です。
杉無垢材ならではの赤身と白太のコントラストが美しい。
この杉の赤白を「源平」と呼びます。源氏と平家の事ですね。
とこんなところに歴史的な言葉が出てくるのも山や木が日本人の暮らしに密着してきた証しです。

 

<和室>

和室の畳が敷かれる前です。12ミリ厚の無垢杉板が畳の下に敷かれます。
通常は合板の捨板といわれるものが畳の下には敷かれますが、合板は吸放湿しませんので、カビやダニが発生しやすくなります。
だから、藁床が使えずに、スチールやボール紙が芯材に使われます。

こういった畳は藁床と比較するととても固く、正座するとすぐに痺れます。
こちらはカビダニの心配がありませんので藁床の畳OKです。

杉は吸放湿作用の他に害虫忌避性もあるので安心です。
畳が敷かれて、神棚がつきました。
畳と障子の組み合わせはやはりきれいです。

床の間も杉で造作しています。

押入れです。

<水廻り>
こちらの水廻りはお施主様の特別の思い入れでちょっとグレードアップしています。

スタイリッシュな形のトイレ(温水洗浄便座付)です。
床・壁共に杉板です。

浴室は1.25坪。通常より大きめです。

脱衣洗面室の洗面化粧台です。
KUMIKOは真壁ですので、柱が壁より出っ張ってきます。
こういう部分の納まりは相当気を使います。
柱にばっちり&ピッタリドッキングしていますね。棟梁と設備屋さんの腕、流石です。

 

<キッチン>

対面式キッチンです。シンクのリビング側にはカウンタ―がついています。

カップボードもお揃いで誂えました。

 

<建具>
KUMIKOでは建具も家具職人さんが造ります。
洗面所の収納、玄関収納、キッチン対面カウンター等々とともに各部屋の引き戸も造作します。
KUMIKOは基本的に引き戸が多用されます。
将来、車いすになった時でも暮らし易いようにとの配慮からです。


こちらはリビング階段なので、冬場のために階段の登り口に建具を設けました。
この戸が必要無い場合は壁の中に引きこまれてオープンになります。

外構

<スロープ&テラス>

駐車場からのスロープです。

KUMIKOでは車いすでの移動も大丈夫なように駐車場からのアプローチにスロープを設けるようにしています。
こうして鉄筋を配してモルタルを打設していきます。

同様に、テラスです。

アプローチ&テラス完成です。
 

<完成&植栽>

サクラとシャラの記念樹は当会からのプレゼントです。
樹木があると家周りの気候が変わりますので、植樹されることをお勧めします。
特に夏の涼しさが違います。

 
<竣工>

竣工です。
軒の出が深いので壁の汚れが着きにくく、建物の持ちが違います。
日本の気候特性からはもちろんですが、陰影のある外観はより美しく見えます。

ご家族と共に育ち、ご家族の幸せに寄り添える住まいとなりますように、心から願ってお引渡しします。

そして、お引渡しからが大事な第2ステージの始まりです。
暮していけば必ず起こる衛生・電気設備の故障、建具や家の不具合に限らず、ちょっと変だなと思われたら遠慮なくご連絡ください。
私たちは建築という分野からご家族に寄り添い、応援し続けます。

 

 
<完成現場見学会>


多くの方に、木の家の素晴らしさをお褒め頂きました。
市内はもちろん、郡山からわざわざ足を運んでくださった方も。
ご来場頂き、心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。