今回は私達が何故KUMIKOの「構造体」を創ったかをお話します。
簡単に言いますと、何百年も耐えてきた古民家の重要な構造体である土壁を杉板で置き換えることです。
実際に土壁を作るには時間も掛かりますし、職人も不足しているので現実的に困難なので、近くの山に沢山ある杉で作る事を考えたのです。
そこで「合同会社地球と家族を考える会」を平成20年9月に立上げ、10月から木材供給は(株)ツネマツから、加工組立てはばんだい東洋建設(株)の協力のもとに、構造体の試験体作りを始めました。
郡山市にある福島県の林業研究センターのご協力のもとに、2か月間に渡り実験を繰り返し、並行して木構造の指導は東京の(株)増田建築構造事務所にお願いしました。
ようやく目途が付き、福島県の公益財団法人福島県産業振興センターからの補助も決まり、12月中に東京の(社団法人)日本住宅・木材技術センターに試験体を持ち込み、無事終了し、H21年8月に念願の大臣認定を取得する事が出来ました。
構造体の説明をしますと、土台は桧材120角、柱は杉材120角、壁板は杉材厚さ3.5㎝×巾12㎝で、日本の伝統構法(込み栓、蟻継ぎ、本実、貫きなど)で出来ています。
実験の写真から分かるように、横から30㎝押しても構造体は破壊せず、靭性(粘り強さ)のあることが分かります。
しかし一般的に求められる強度は、初期の剛性(例えばコンクリート)であり、それは金物で担保されます。
実際3.11の東日本大震災での「福島の家KUMIKO」は、木製建具(1個所)が外ただけで、他は無傷でした。
ここから日本の伝統建築である「古民家」の良さが見えて来ますね。
これからは「人生100年の時代」が来ると言われていますが、どのような住まいが必要か次回は考えてみます。 嶋影
1級建築士・有限会社建築工房 管理建築士・合同会社地球と家族を考える会 代表社員
主な設計にVILLA SANPEI・郡山市立安積第二小学校体育館・(社福)なのはな保育園