KUMIKO便り

KUMIKOの番人が日々を綴ります

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2020年12月29日

原木市場&製材所を見学して来ました・・・ 森の講座11月

2020年が暮れていきます。
台風19号被害から続いてコロナ禍と辛抱が続きましたが、様々な情報に一喜一憂しているうちに過ぎた1年はとても短かったような気もします。
本日29日、今年最後の14番目の月が建築工房の東に大きく開いた窓から見えています。
 
 
さて、10月には山で伐採を見学しましたが、先月の森の講座では伐採された木々たちのその後、売買と製材について学ぶため、郡山市にある福島県中央木材市場・郡山地区木材製材協同組合さんにご協力頂き、施設内を見学させて頂きました。
案内して下さるのは木材のエキスパート、福島県木材協同組合連合会の宗形顧問です。

入札・落札された原木が整然と並ぶ木材市場。後方は製材工場。


まず、原木市場です。
山から運び込まれた丸太を、野菜市場などと同じく定期的に市を開催し、入札などの方法で売買しています。

入札&落札された木々

次に製材される丸太の流れを見て行きます。

分別されるのを待つ木たち


まずは太さ毎に分別していきます。
この機械が選別機です。
太さ・長さ毎に1本1本分類するもので、東日本大震災以降は放射能の検知装置を組み込み、測定も同時に行っています。

丸太の分別を行う選木機です。

1本1本測定され、振り分けられていきます。象の鼻のように長い!

次に分別された木の樹皮を1本1本剥いていく機械を見学しました。
入荷された樹木には、樹皮の間に石などが挟まれていることがありますので剥いてから製材します。

樹皮を剥かれた杉丸太たちです。

裸になった木が寒そう

次は皮を剥かれた丸太を四角にする機械、ツイン帯鋸です。
1本1本こうして鋸の元へひょいひょいと持ち上げられ、ピューッと4面を切り取られ、柱状になっていく早業はなんとも豪快で見ていて面白いです。

乾燥前の重い丸太が静々と鋸のもとへ上がって行きます

さらにカットされ、板状になった材です。
板は更に磨かれ、バリのない手触りの良い材になります。

太陽の元で乾燥させている材です。

太陽の力で良い材になります

木材にとって、反りや狂いといった寸法や強度は水分(含水率といいます)に左右されますので、水分を抜くことはとても大事なことです。
機械力を使わずにお陽さまの力で乾燥された材はしなやかで芯(柱の中心)がしっかりとした仕上がりになります。
こうしてお陽さまの元で乾かされた材を天然乾燥材と呼びます。
(KUMIKOは天然乾燥材を使って建築します)

 
一方、こちらはお釜の中で端材を燃やし、その蒸気で乾燥した人工乾燥木材です。
機械力で乾燥しますので、目指す水分量まで下げる事が可能です。

整然と積まれた乾燥後の柱たち


 
そして、こちらは銘木と呼ばれる柱です。

1本1本丁寧に包まれ貴婦人のよう


銘木となるように手をかけ丁寧に育てられ、しかるべき手入れをされた結果できる、柾目の美しい柱です。
近年は建築の中でも魅せたい部分のみに使われる材、と言っても過言ではないのが残念です。

 

最後に、
こちらは山から運ばれてきた木の重量をトラックのまま量る機械です。

トラックごとここに載ります

細い木や曲がった木、製材した時に出る端材などはチップになります。
チップとなった木は製紙工場で紙に加工されたり、発電所に運ばれ電気の源となります。
本来、発電用のチップは、樹皮付きのまま粉砕された状態で供給しますが、福島県内の発電所では、放射能に対する地域住民への配慮などから、樹皮を除いたチップを使っています。

 
こちらは剥かれた樹皮です。
ほとんどが、産廃処理に回されてしまいます。
原発事故の被害がなければ、これも発電用に使えたはずです。

製材される木とチップになる木の卸し価格が大きく違うことを、10月の伐採の折に聞いて驚いたのも記憶に新しい事です。
毎年、良い木が良い材になって 、利益が林業に関わる方の元に戻り、次の植林、育林へと繋がっていく、そんな循環が生まれる事を参加者全員が思わず祈る場でもあります。

 

後半は座学です。
木材の特性や住宅建築に使われる時の木材のコスト、森林資源の循環利用と地球環境について伺いました。

木は、資源量に限界のある化石燃料(石油等)と違い、水と太陽があれば枯渇することのない資源です。
利用時に二酸化炭素を排出する石油等と違い、二酸化炭素を取り込み、酸素を生み出し、地球温暖化防止の役割を担っている稀有な資源であることを知って頂く事は、森の講座の大事な目的の一つです。

4月より森を歩き、木々の魅力を再認識、というより更に好きになった参加者さん方の反応は鋭く、私たちにとっても刺激的でした。
人が植え育てた山の木は、使う事で循環型社会の一端を担うという「森の木が家になるまで」のテーマに対して、なぜ日本産の木で造る家が少ないのか、その理由を知り驚かれていたことも印象的でした。

 
 

さて、世界中から人々が集い、新たな記録や頑張りに魅了されるはずだった2020年。
2019年の台風被害からコロナウィルスと続き、様々な場面で辛抱の日々となりましたが、この一年がこれからの人類や地球にとって大事なターニングポイントとなる事を心から願って今年を締めたいと思います。
2021年はどうか穏やかで健やかな年となりますように・・。来年もよろしくお願いいたします。

ふくしまの木の家KUMIKO番人より 2020.12.29

 

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