☆木の家へのきっかけ☆

KUMIKO便り

2016年07月31日

KUMIKO便り

2016年07月31日

☆木の家へのきっかけ☆

枕草子風に言うなら、「夏は日暮れ」でしょうか。
モクモクとした入道雲が茜色に染まった様子はもう表現する言葉が見つかりません。

さらにカナカナとヒグラシの声が重なり、目にも耳にも素敵な時間が日暮れ時です。
今年は、夕方になると昔のように涼しい風が吹いてくれるのも嬉しいことです。

夏の日暮れ時は四季の中で一番昔の頃の情景を思い起こさせる時ではないでしょうか。
先日、我がボスが「私が建築家を目指したきっかけ」という資料を作っていました。
学生さんとの勉強会に使うのだそうです。
彼が建築家を目指したきっかけは吉村順三「茅ヶ崎の家」。
それを雑誌「新建築」で見て衝撃を受け、このままじゃいかんと思って修行に出たのだそうです。

番人は同じ吉村順三でも「軽井沢の山荘」に衝撃を受けました。
びっくりでした。
削いで削いでそぎ落としたプランの素晴らしいこと。

家って、簡単に言えば食う寝るところに水回り(バストイレ)を組み合わせただけです。
でも、組み合わせによってこんなことができるんだ!とワクワクしたのを覚えています。
ただ、木の家に関わるようになるのはその吉村順三作品に会ってから暫く時間が必要でした。
今回はボスに習って木の家に携わることになったきっかけを書きたいと思います。

先月は番人が木の家に関わるようになったきっかけを作ってくれて、背中を押してくれた恩人が亡くなった月です。
この世で必要な人は天国でも必要とされるらしく、もっともっと活躍して欲しかったのにあっと言う間に逝ってしまいました。

番人が木の家を気にしだしたのは、大型台風で山の木がなぎ倒された映像をニュースで見た時からです。
山じゅうが倒れた木で埋め尽くされた光景がテレビ画面いっぱいに映し出されて、
でも、「赤字になってしまうので片づけることも不可能」とニュースが伝えていました。

このニュースの言葉は忘れられません。
「コスト」ではなく「赤字」という言葉が使われたことに驚きました。
雪ではなく木が雪崩を起こしている様は惨い光景でした。
この画面は忘れられません。
今でも脳裏に鮮やかに蘇ります。

当時も家造りに携わっていましたが、室内に無垢のまま木を使うことはほぼ無く、ごく稀にあってもシーダーやパイン等の輸入材で、国産の木を使うことは有りませんでした。
ごくたまに床柱に杉絞り丸太(京都産)がある位でしょうか。

何故、国内で生産される木が住宅に使われないのか?
その疑問と、雪崩を起こした風倒木のニュースがリンクし、このままこんな家造りをしていて良いのだろうか、という思いがよぎりました。
がしかし、では、どう行動したら良いのか当時は全くわかりませんでした。

仕事は暮らしの糧、食べていくためでもあります。
そう簡単には動けません。
暫くはモヤモヤを抱えたままフローリングとビニールクロスと塩ビシートの家造りにかかわっていました。

しかし、コンマ何ミリという薄い板を何枚も何枚も糊で貼って12ミリの板にしている木の床=フローリングは夏はベタベタし、冬は冷たく、時間の経過と共に色褪せていきます。

それを作っている工場から出る臭気も気になっていました。
その匂いの元は木と木を貼り合わせるための糊です。
その糊の固まりの上に日々暮らしていることも気になっていました。

そして、粉々にした木を糊で固めたものを中に入れて、木の模様をプリントした塩化ビニールシートを貼ったドアも、同様にサッシの周りに回す縁も気になっていました。

ベージュが良いか、ピンクが良いか、花柄か、はたまたどんなエンボスが良いかと選ぶ壁紙も元々は石油から作られたビニールで、生きた人間が日々ビニールに包まれて暮らすことにも身体に良い事なのかどうか、次第に疑問が膨らんでいきました。

更に、日本の家の寿命が30年弱と言う事も気になっていました。
住宅ローンは30年で組む方が多いのに…。

そして、家の最後は産廃となり、土中に埋めるしかないことにも。
産廃の処分場はもう満杯状態です。

そんな諸々が、分かるにしたがい、このまま‘もどき’の木とビニールに包まれる家を作り続けて良いのだろうか、ゴミを増やし続けて良いのだろうか、という疑問がどんどん膨らんでいきました。
それが何年続いたでしょう。

そんな頃、元旦の朝日新聞の見開き2ページにわたって千人の名前で出された意見広告『近くの山の木で家をつくる運動 千人宣言』。
確か、先日亡くなった永六輔さんの名前もあったかと思います。

台風でなぎ倒された大量の木々、ビニールで包まれた家、今こそ声に出して言わねばという新聞2ページに渡る宣言。
動かなければと思いました。

その頃、たまたま内装も国産の杉で造られた家に行く機会があり、体中が気持ち良くなったのです。
五感全てが心地良いと感じました。
これが答えではないかと思いました。

そんな時に、恩人と巡り合いました。
「日本産の木で造られた家を提供したいよね」と二人で長い事話し込みました。
それが私が木の家造りに踏み出す一歩となりました。

長くなりますが、ここに『近くの山の木で家をつくる運動 千人宣言』の原文を載せます。
(出典:NPO法人 緑の列島ネットワークのH・P)
お時間のある時にお読みいただければ幸いです。

近くの山の木で家をつくる運動 千人宣言 原文

最北端の宗谷岬から南の八重山諸島まで、延々三千キロにわたって弓状に連なる日本列島は、その国土の三分の二が、森林によって覆われています。

海岸線の町、盆地の町、どの町を流れる川も溯(さかのぼ)ってゆけば、緑の山々にたどりつきます。
山は川の源です。
海は川の到達点です。
この山と川と海が織りなす自然こそ、私たちの生命の在りかであり、暮らしの基盤といえましょう。

いま、この緑の列島に異変が起きています。

破壊的ともいえる、山の荒廃です。
何が起きているのか? 現実に立ってみることにします。

つい最近、スギの山元立木(やまもとりゅうぼく)価格※が一九六〇年(四十年前)の価格程度に戻ったというニュースがありました。
四十年前といえば、あんぱん一個の値段は十円、映画館の入場料は百十五円でした。
物価も収入も上昇したというのに、スギの値段だけは、四十年前の水準に戻ってしまいました。

木が育つには、何十年も、何代にもわたる人の手がかかっています。

ことに人工林は、雑草木を刈り、つるを切り、枝を打ち、間伐を行う、といった細かな作業を必要としており、これを怠ると、木の生長が抑えられるというだけでなく、環境に大きな影響をもたらします。

町がスギ花粉に見舞われるのも、鉄砲水が続出するのも、山に手入れが行き届かないから、といわれています。
古くから、治山は治水、といわれてきました。

豊かな平野は、後背(こうはい)の山あってのことです。
川や海の魚がおいしいのは、山が豊かなればこそです。

木は再生可能な資源であり、地球温暖化防止に重要なCO2吸収の主役でもあります。

それなのに、山の暮らしは成り立たず、山から人の姿が消えかかっているのです。
私たちの祖先は、ごく自然に木という素材を選び、鋸(のこぎり)、 鉋(かんな)、 鑿(のみ)などの道具を用いて家を建ててきました。
そこには人がいました。
山を守り、木を育てる人。木を伐り、製材し、運ぶ人。
材を加工し、家に組立てる人。

いま、山から人は失われ、職人の腕は低下したと嘆かれ、柱のキズで背比べする姿は消えたかにみえます。

山の荒廃をストップさせ、木の文化を蘇(よみがえ)らせるには、何を、どうしたらいいのでしょうか?

まず我々は、連鎖する自然と地域の営みの中に生きて在ることを知りたい。
次に我々は、近くの山の木で家をつくる、という考え方を取り戻したい。

山と町、川上と川下、生産者と消費者が面と向き合って話し込めば、お互いの置かれた現実がよくみえてきます。

山に足を運び、荒れた山の現場に立ち、手入れの行き届いた山をみれば、みずみずしい緑を、協働のちからで取り戻そう、という気持が涌いてきます。

悩ましいお金の問題も、寄り合って吟味を重ねると、建築費の中で木材費の占める割合が、思われているほど高いものではなく、決して高嶺の花でないことも分かってきます。

木は乾燥が大事なこと、土や紙や竹などの自然素材も地域に身近にあることを知ったり、木は建築後も生きて呼吸していることや、木の家は補修すれば寿命が長くなることなど、大切なことがいろいろとみえてきます。

これらの価値を、皆で結び合い共有すること、それが、近くの山の木で家をつくる運動の原動力です 。

・・・こんなことを里山の花や木を観察することから始め、人工林での伐採、乾燥、製材の見学、木の特性を知ることまでを1年かけて知って頂くのがKUMIKO木の家講座「フォレストミッション」です。
今番人が伝えられる近くの山の木で家をつくる事の意味です。
※フォレストミッションについては詳しくはトップページの案内をご覧下さい。

長くなりました。
ここから、設計の勉強をし直し、ふくしまの家KUMIKOに結実するまではまたいづれ書きたいと思います。
一歩踏み出したと言っても、それは気持ちの上だけで、まだまだ木の家造りには関われない現実が横たわっていました。

暑い日々が続きますがKUMIKOは夏も快適です。
土曜の朝に玄関を入った時に味わう涼しい~の感動をどうぞ体験しにおいでください。
福島の杉の家は不思議な涼しさです。

今日のKUMIKOです。

では水分と休養をしっかりとって、夏を楽しんでくださいね!
ごきげんよろしゅう。

福島の木の家KUMIKO番人より

 
実物サイズで、リアルな生活を体感できる。 
KUMIKOのデザイン・技術を余すところ無く注ぎ込んだ、展示場。 
自然素材へのこだわりとデザインへのこだわりが凝縮された展示場へ、どうぞご来場ください。

KUMIKO展示場へようこそ

杉の特性、伝統構法の技、そして心地よさ。
あなたのその目で、その身体で、その五感で感じてください。
体験したことのない温かさがあなたを包みます。