嶋影健一の想い

嶋影健一が日々を綴ります

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2019年09月30日

KUMIKOの役割 令和元年9月

■簡単ではありますが、前回で一応私達の考えを述べさせて頂きました。
しかし、考えて見ればKUMIKOのハード論を中心に進めてきたので、最後にソフト論として、どのような家族をイメージしていたのかを説明しましょう。

■先ず、子育て中の家族を大きな空間で包み、伸び〃と自然を満喫して欲しいと考えました。その条件として、郊外で家庭菜園が出来る環境を用意しました。

・そこで子どもを料理人にすること。
2階の吹抜けから、家族が料理をする姿を見て、自分も料理をしてみたいと思える空間にする。最近は共稼ぎが多いので、料理を大切にする人が求められますね。

・その後、料理が子どもの前頭葉を刺激することが分かった。
このことは、毎日新聞で、東北大学の脳科学者の川島隆太教授が実験で明らかにしたことが載っていました。

・次に作家の陳舜臣(ちんしゅんしん)さんが、本の中で次のようなことを書いていた。
中国の華僑(かきょう、海外に移住した人達)は、人を雇うとき最初に厨房に入れるそうです。そこで少ない金額で如何に美味しい料理を作るかを試させて、合格した人はそのまま料理人に、不合格の人は表(会社)に出すそうです。
しかし、この不合格の人は少ないお金で如何に利益を出すかを考えるそうです。これが華僑の失敗しない大きな理由だそうです。

・次にKUMIKOを見学された幼児教育者の藤森平司先生の話。
幼児は常に人から見下されて、ストレスが溜まっているそうです。時には上から見下ろせることも大切なので、その点この建物は合格ですねと、お褒めを頂きました。

■早いもので震災前の2010年に福島の家「KUMIKO」を建ててから今年で9年になります。震災後は忙しく仕事に追われましたが、だんだんと落ち着きを取り戻し、また年齢を重ねたせいか色々と考えることが多くなってきました。
最近読んだインタビュー記事(JIA MAGAZINE)の中で、「建物の構成が分かると、建築というものに自覚的になる」という言葉に出会い、はっとしました。
改めて「KUMIKO」と「原発」に付いて考えてみようと思ったのです。

・先ず、何故真壁に拘るのか、それは古民家に端を発しているのです。
古民家に入ると大きな空間と構造体が一体になり、圧倒的な存在で私達に迫ってきます。それを体験した方は、木材に包まれた温もりのある空間を忘れることが出来ません。
これが記憶に残り、あの圧倒的な構造から「古民家を自覚した」ことになります。
この「自覚」こそが、構成している木材の歴史(背景)を問うきっかけになり、最終的に思いが森に至り、自然に生かされていることを理解するのです。
KUMIKOの壁、天井をビニールクロスで覆った時、ここから自然をイメージできますか。

・次に原発について考えると、生活の中で電気を気に掛ける時は、停電になったとき位で、そんな時でも電気が何処から来るか、何で作られているか、また未来へ思いを馳せることなく、目の前の事に囚われたことが、原発を許してきたように思います。

・今一番の問題は、政治も含め、目先の事に余りにも囚われていることに、危機を感じているのは私ばかりではないと思いますが、如何でしょうか。 嶋影