KUMIKO便り

KUMIKOの番人が日々を綴ります

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2019年03月31日

住まいで「老活」

須賀川は梅の多い街だったかと思うほど、
KUMIKOへ辿る道々、紅白濃淡様々な梅の花が目に飛び込んできます。

KUMIKO隣の梅

昨夜降ったみぞれ交じりの雪で早朝は庭も車も真っ白でしたが9時には早くも融けてしまいました。
KUMIKOの庭ではボケと桜の蕾が膨らみ、サンシュユが満開状態です。

庭のボケの花

桜の蕾

サンシュユ

 

今回は同窓会報で紹介されていた『住まいで「老活」』がとても良かったのでこちらを紹介したいと思います。
(岩波新書2018年6月20日第1刷)
同窓会報に紹介文を寄稿した方は昭和44年卒ですので70代でしょうか。
一人暮らしの彼女は最近右手を骨折して、料理や衣服の脱ぎ着などにとても苦労したそうです。

そんな折に手に取った本書から「住まい」次第で健康寿命を延ばし、介護が必要になっても重度化を防ぐことができると知り、より多くの方にこのことを知らせたいと寄稿されたようです。

著者は昭和45年卒の同窓で1級建築士・福祉用具プランナー・ケアマネージャーの安楽玲子氏。

本書は千軒近い要介護者宅を訪問し、住宅改修のアドバイスをしてきた経験から書かれており、真っ先に出てくるのが「ケアの質の70%は住まいで決まる」でした。

私もこの言葉に大いに賛成です。
それは建築に携わる立場からというよりも、母の病気の進行とともに体の機能が衰え、車椅子となっていった過程を看て、ギリギリまで自分で動き、そして、自分の力でトイレに行くことを可能にするには何より住まいが大事、という事を痛感したからです。

もちろん、高齢者の住まいには自宅の外に施設も選択肢に含まれますが、本書では、多種多様な高齢期の住まいを紹介しつつも、
大半の高齢者は要介護になっても自宅で暮らしていることを踏まえ、だからこそ住み慣れた家で安全に暮らし続けることを可能にする提案や改修事例を豊富に紹介しています。

こう書くとリフォームの勧め本と思われそうですが、住まいは様々で、住み手も様々で改善個所はそれぞれ異なりますので、今日からでも始められ、且つ、お金をかけないでできる事から提案されています。

まず第一に挙げているのは片付けです。
老体に合った新しい「終(つい)の棲家」を得ることは、きっかけや資金がなければハードルが高く、子供の独立によって同居人が減少していった末の、長年住んだ家が殆どがでしょう。
長い年月を過ごした住まいには沢山の物が溢れています。
本書はまずこれらを整理することを勧めています。

通路や階段、部屋に置かれた物たちは家庭内事故を引き起こす原因ともなり、また、足腰の弱った方がそこここに溢れる雑多な物で歩行補助の福祉用具を利用することも困難となり、介護が重度化していくことにも繋がると書かれています。

次に、ちょっとした段差を解消し、必要な場所に手すりをつける、ドアを引き戸やアコーディオンドアにするなど、大金をかけなくとも実行できる小さな改善の重要性を紹介しています。
これは家庭内の事故を未然に防ぐことでもとても有効なものです。
一人暮らしの方が部屋の中で転倒し、助けを呼べずに衰弱死などという、驚くような切ないニュースを耳にすれば、片付けや段差解消、または手すりによって転倒を未然に防ぐことができたならば、そのような惨いことにならずに済んだのでは、と思ってしまいます。

内閣府の平成30年版高齢社会白書によれば、65歳以上の方がいる世帯は全世帯の約半分、その内の過半数を「単独世帯」「夫婦のみ世帯」が占めています。
白書の高齢化の状況を現実的なグラフで見れば、メディア等で盛んに言われている墓や遺産相続など「終活」をすることも大切ですが、その前に「終の棲家」を決め、片付けや手すり・段差解消など小さなことから始め、将来にわたるライフデザインを描く「老活」に着手することはもっと大事なことと思うのです。

なぜなら将来を見越したライフデザインを描く、つまり今~死ぬまでをきちんと生活設計することで、寝室の場所、寝室と水周りとの位置を見直すことができ、もしリフォームが必要と感じたら、それを実現させるのに必要な資金、そしてこれから生きていくのに必要なお金の事も精査できるからです。
この「老後に必要なお金」の把握はとても大事な事です。

ただ、高齢にならなくても、寒いトイレは辛いし、寒暖差の大きな脱衣所と浴室は危険です。
浴室やトイレの温熱環境を改善すれば、急激な温度差によるヒートショックを防ぐこともできますので、できることを早めに準備すれば、その後の暮らしが楽になる事は確実です。

私はまだテスリにすがって歩く年齢ではありませんが、家中にある(母の為だった)手すりのお陰で何をするにも楽ですし、脱衣室や浴室が寒くないことは本当に楽で助かっています。

母が亡くなった今では、あの家だから、母はギリギリまで自宅に居る事ができたと思っています。
もし、手すりもなく、廊下幅も狭く、寒くて、段差だらけで、トイレが寝室から遠い家であったなら、母の負担はさぞ大きかっただろうと思うのです。もちろん、介護する家族の負担もです。

安楽氏によると、リフォーム工事後に伺うと、いずれのお宅でも「もっと早く工事しておけばよかった」と、笑顔で迎えてくれるのだそうです。
例え手すり数本の設置でも、できなかったことができるようになり、不安だった動作が安定し「トイレに行ける。お風呂に入れる。」といった日常生活を継続できることは、精神面の充足、安定にも寄与するとの事。

人は病を得ずとも年と共に今までできたことが必ずできなくなっていきます。
人生100年時代、自分の体が自分の思うように動かなくなってくる60代から先が長いのです。
自分の身は自分で守るためにも元気なうちに住まいを見直してみるのは大事な事。
そんなことをしみじみ考えさせられた『住まいで「老活」』でした。

住まいで老活


 
 

先日須賀川郵便局に行きましたら、沈丁花の香りが馥郁と香ってきました。
沈丁花の香りがしたら春。
来月から新しい年度がはじまりますね。
どうぞ良い年になりますように。

では、ご機嫌よろしゅう。

福島の木の家KUMIKO番人より 2019.3.31
 
 
 
 

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